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Nationalイズム

「Nationalイズム」私の作った造語です。ナショナリズム「国粋主義、国家主義」とは違います。前回文中で書いたので、私の考えるNationalイズムについて少し触れてみたいと思います。
明るいナショナンルのコピーに代表されるように、戦後の日本を蛍光灯で明るくし家電製品で生活を便利にしてきたナショナル。住宅建材の分野でも安くてキレイな建材を次々と世に送り出しています。戦後アメリカ主導で行われてきた復興の中、物の無い時代の庶民の欲求の矛先は、「明るい事は良い事だ、物をいっぱい持って豊かになる」でした。松下だけでなくどの企業もそういった欲求を満たすべく次々と製品を送り出し、またコマーシャルなどによって購買欲をそそらせ、今日まできていると思います。
終戦直後の荒んだ日本にそれらの欲求は大いに励みになり団塊の世代と呼ばれる人たちの復興へのエネルギーになったと思います。事実戦後40年ほどでGNP世界第二位の国になっているのですから。
1960年代生まれの僕らの世代は物があふれ出す前の貧しい日本も、子供の頃の記憶にあります、(何を持って貧しいと判断するかは微妙ですが、ここでは、唯物主義的に食料や物、お金という事にしておきましょう)やはり暗いと辛気臭いとか、物を持ってないと不安とか、そういうどうしようもない感情が心の奥底にあるような気がする。そういった戦後政治や企業の誘導によって作られた日本人の個人個人の持つ美観や欲求が、Nationalイズム。
一般家庭の天井に蛍光灯煌々と点いているのは日本だけです。30代20代の人の家に、蛍光灯を配置せずに照明計画をして、施工をすると、施主の両親がきて「暗くて辛気臭いな」と言われたと言うのをよく耳にします。施主に田舎風(カントリースタイル)のデザインでといわれ壁にコテ目を残して珪藻土を仕上げたり、節の有る木を使ったりすると、クレームになったり、木製建具を採用するときも「木は自然のものなので縮んだり伸びたり反ったりします、定期的な手入れが要ります」と説明していても、それが通らない事もしばしば。いつの間にか、スカットとしていて当たり前、ちゃんと閉まって当たり前。明るくて当たり前。便利で当たり前。それが本物でなくてもキレイで当たり前。
そこに視点が集中しているので気がついたら家の中で手に触れる部分がすべて工業製品、木だと思ったら木目の印刷の上に強力なウレタンのクリヤー。レンガの壁だと思ったら印刷のサディング。和室の障子の桟までアルミに木目の印刷。ケミカルに囲まれた美しいわが家。それがNationalイズムの家。チャンチャン

書いてるうちに興奮してきてやり過ぎました。
最近はそういう事に疑問を持っている人、しっかりした美観を持った人もずいぶん多いです。戦後でも滋賀県の蒲生郡田舎立ちの家(3年前に水まわりとリビングをヴァニラリーフでリフォームした家)では25年ほど前(高度経済成長の真っただ中一番住宅が薄っぺらに建てられた時代)に建てた家なのですが、柱や梁などの主材は家族でベンガラを塗り本壁の竹を編んだり粗土を塗ったりは親戚中で手伝って建てたと聞きました。ケヤキの柱に石敷きの玄関土間、木製建具に漆喰の壁、弁柄塗りの腰壁、中にいてとても落ち着く空間、日本の家の素晴らしさをとても感じました。
ヴァニラリーフに木、土、石を使った気持ちの良い家を建てたいという人がとても多く来られます。
光や風を感じられる気持ちの良い空間作りに邁進したいと思います。
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by vanillaleaf | 2005-09-16 11:21 | ポリシー

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